現状コンテナの選択肢はKubernetes一択の感があるが、それでは有償のOpenShiftを選択(購入)する意義はあるのだろうか。
本誌をお読みの大多数の企業にとって、答えはイエスである。すなわち、企業システムのほぼすべてをコンテナ化・クラウドネイティブ化できている若い企業は別とすれば、今回特集しているようなクラウドネイティブ化には無数の新技術を初めて採用する必要があるためである。
OSS成功のカギは、数年先までの安定した運用体制を構築できるかに尽きる。IBM i を利用する大多数の企業では、Kubernetes担当者は1人か2人程度ではないだろうか。であれば、極力技術的ハードルを減らし、構築初期段階に参加した気概に満ちたメンバーが異動になっても、誰でも容易に引き継げるように考慮すべきである。
Kubernetesに限らず、OSSはとかく手がかかる。その手間や品質をOpenShiftというサブスクリプション購入により担保するのである。俗人的なスキルに左右されずに、一定レベルのサポートを維持できる。
さらに機能的にもOpenShiftはKubernetesより優れており、コンテナビルド後のリポジトリ登録やデプロイなどのルーチン的なCI/CDの多くの手順を自動化・標準化し、単純にコンテナ運用保守の生産性向上にも寄与できる。
著者|
佐々木 幹雄
システム事業本部 Power Systemsテクニカル・サポート
コンサルタントITスペシャリスト
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特集|IBM iのマイクロサービス化
Column 1 OpenShiftかKubernetesか
Column 2 どこでもKubernetes
Column 3 ミドルウェアのコンテナ化対応
Column 4 SCNは戦略策定のためのフレームワーク
Column 5 ハイブリッドクラウド移行(中期)計画を作る
Column 6 アジャイルはSoEだけのものか?
Column 7 IBM iサービスとDb2 for iサービス
Column 8 IBM iのクラウドサービス
Column 9 コンテナテクノロジーを導入しても、イノベーションは起きない
[i Magazine 2020 Spring掲載]